郷愁となった日常を追って~鉄道~
只見線 約3か月間の延長戦
2020年3月のダイヤ改正で姿を消した新津キハ。
…のはずだったが、小出口の只見線については、置き換え車両の準備が間に合わず当面ヨンマルの代走となった。
大陸由来の某感染症、そして自粛警察等々、なんともその恩恵を満足に受けられたかどうかは判然としがたいが、それでも最後の駆け込み撮影で見送ることができたのだった。
2020.4.25 上条―越後須原
ダイヤ改正後に訪れたのは深緑の進みつつある4月下旬。
本当は上記区間に架かる鉄橋と桜、そして雪山バックが本命であったが、主に天気と休暇の都合で時機を逃してしまった。
代わりにと目をつけていた入広瀬の一本桜も、早朝だというのに騒ぐ撮影者に地元の人が激おこで「関東から出てくるな!」と剣幕で退散。
小出口らしい青・青編成も久しく組まれず、なんとも消化不良となった。
2020.4.25 越後須原―魚沼田中
文句は言いつつも別の収穫があった。枝垂桜である。
所詮は延長戦、楽しく撮ったもん勝ちと開き直って撮影したお気に入りである。
欲を言えば、ここから少し須原方に植わっている八重桜とも撮っておくべきだった。
2020.5.2 只見―大白川
新緑は徐々に進みつつも、俯瞰するには物足りないボリューム。おまけに、今年は雪解け水の流入が遅いないし少なく、ダム湖の水位がなかなか上がらない。
上に同じく、あくまで延長戦なので、憎まれっ子なラッピング車・縁結び号を本気撮りしてみた。
2020.5.8 北堀之内―越後川口
大白川―只見
この日は気温の割に空気が澄んで非常に気持ちがよかった。架線下とはいえ、風光明媚な上越線もまた小出口のキハにとっては日常。
すでに夏光線の様相ではあったが、サイドに光が回るうちに堀之内俯瞰を抑えた。
午後便は雪解け水がいい頃合いと踏んで田子倉へ。ここでは私をヨンマル沼に引きずり込んだ少年と再会。やはり、嗅覚の利く者は時機を逃さないようである。
2020.5.30 上条―入広瀬
梅雨入り前のド快晴に、かねてから撮ってみたかった入広瀬の東側俯瞰をようやく発見。
編成も青コンビに戻り、胸のつかえがとれたようだった。
…撮影後にバケヨンの取り扱いを間違えてFTZマウントアダプターがご逝去されたのは秘密である。
2020.5.30 大白川―只見
大白川先の有名な棚田であるが、なかなかこう撮る人はいなかったのではないだろうか。
踏切だけならともかく、電柱が数本立っている定番構図と異なり、より秘境路線らしさが出せたと自負するところ。
2020.5.30 入広瀬―上条
ラストランに向けて切り開かれたらしい道の駅の裏山俯瞰。
もしまた設定があれば、工臨でも撮ってみたいものです。
2020.6.6 大白川―只見
翌週からは梅雨入り。いよいよお別れの時間が近づいてきた。
意外と撮っていない六十里越区間だったが、コロナによる日帰り行程を繰り返すうちに、この秘境感満載な画が撮れそうと思いついた。
田子倉の絶景ばかりが目に付く小出口だが、列車自体のハイライトはこの峠区間だろう。それを少しでも表現できていたら幸いだ。
2020.6.6 只見―大白川
この期に及んでは田子倉に晴れカットはいらない。
むしろ、曇天ゆえの緑一色な雰囲気を撮ってみたかった、と言いつつ澄んだ水面に惹かれてしまった1枚である。
2020.6.20 薮神駅
梅雨といえばあじさい、タチアオイ。別れの季節が梅雨だったことのメッセージ性も含めて、ぜひ絡ませようと思っていた。
薮神駅にはちょうどおあつらえ向きな株があり、お手軽に狙った画を頂戴することができた。
2020.6.20 越後川口―北堀之内
薮神―越後広瀬
とはいえ、タチアオイは意外と構図にまとめるのが難しかった。
おまけに2枚目は予想外に晴れ間が差し、これでは梅雨明けではないか?といった画になってしまった。質感的に、画それ自体はそれなりなので悪くはないのだが…。
2020.6.21 北堀之内―越後川口
この日も梅雨の晴れ間で狙ってた絵とは違うものを撮るハメに、というのは贅沢な文句。
久しぶりの川口の鉄橋で望外の「夏」カットとなった。
2020.7.5 只見―大白川
薮神―越後広瀬
札沼線を思い起こすような見下ろし区間。これも撮りたかったので無事回収。
なお、当人は北海道の地に降り立ったことさえないのだが。
2020.7.5 薮神駅
最後の最後に訪れたのはまたしても薮神駅。狙いは「サボ」と地元有志によるのぼり旗。
大学時代の乗り鉄、そして地元で置き換えられた烏山線、また某撮影時に出会った年下の同士に影響を受け追い求めたキハ40。
最後の最後まで楽しい時間をありがとう!